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GEMSIS-磁気圏 (Magnetosphere)

波動の伝播を考慮した新しいTime of Flightモデル

れいめい衛星で観測されたパルセーティングオーロラに伴う降下電子のエネルギー分散について、波動粒子相互作用に基づく新しいTime of Flight (TOF) モデルを提案しました。従来のTOFモデルでは、すべてのエネルギーの電子が磁力線のある一点で変調を受けることを想定しています。一方、ホイッスラーモード波動と共鳴する電子のエネルギーは、背景磁場とプラズマ密度に依存するため、ホイッスラー波動が磁力線に沿って伝搬することで異なるエネルギーと共鳴します。本研究では、ホイッスラーモード波動による共鳴エネルギーと波動の伝搬過程を考慮した新しいTOFモデルを開発し、れいめい衛星で観測された降下電子のエネルギー分散に適用しました。新しいモデルからは、共鳴を引き起こすホイッスラー波動の空間分布や熱的プラズマ密度の情報を引き出すことができますが、これらの推定された値は過去の人工衛星の観測結果と調和的でした。

参考文献: Miyoshi et al., JGR, 2010