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研究計画と3つのサブグループ


複雑でダイナミックな太陽・地球系の物理過程を理解するため、以下の3つのサブグループを設定し、サブグループ単位の研究活動を推進します。

  • 「GEMSIS-太陽」: 太陽フレアにおける磁場・プラズマダイナミクスのモデリング
  • 「GEMSIS-磁気圏」: 磁気嵐時の磁気圏グローバル変動の数値モデリング
  • 「GEMSIS-電離圏」: 電離圏電場ポテンシャルの全球分布のモデリング

GEMSIS-太陽 (Sun)

太陽フレアは磁気エネルギーの蓄積過程と解放過程、そして高エネルギー粒子の加速過程から成り立っており、しばしば太陽系内空間に莫大な量のプラズマを放出します。太陽フレアは太陽系内最大の爆発現象であり、放出されたプラズマが地球を直撃すると、美しいオーロラの発生とともに、送電システムの故障など、様々な影響を与える事があります。この太陽フレアには、未解明の物理過程がいくつか存在します。何がきっかけで磁気エネルギーの解放が起こり、局所的な高エネルギー粒子の加速につながるのか、などです。これらの問題点を理解するために、GEMSIS-太陽では、コロナ磁場の精密なモデリングを行い、その時間発展を解析するとともに、コロナ磁場データベースの作成、公開を目指しています。これらのコロナ磁場モデリングとデータベースの整備によって、国内外の太陽物理学コミュニティによる太陽フレアの包括的な研究が促進されると期待されています。

GEMSIS-磁気圏 (Magnetosphere)

ジオスペース最大の擾乱現象「宇宙嵐」時には、リングカレントの発達によって背景場の構造が大きく変化するとともに、磁気圏で最高エネルギーを持つ「放射線帯粒子」が著しく増大するなど、内部磁気圏領域に大きな変動が起こります。GEMSIS-磁気圏では、リングカレントの発達や放射線帯粒子変動など、この領域で生起する様々なダイナミクスの実証的なモデリングを進めるために、新しいアプローチによるシミュレーションコードの開発を進めています。また、この領域のダイナミクスと高エネルギー粒子加速の理解を目指して人工衛星・地上データを用いた総合的なデータ解析研究を行い、その成果を宇宙天気研究にも応用しています。さらに、効果的な解析を進めるために、データベースの整備や総合解析ツールの基盤開発も行っています。

GEMSIS-電離圏 (Ionosphere)

太陽から地球へ伝達される電磁エネルギーは電離圏という球面に投影され、電場ポテンシャルという形で現れます。磁気嵐時には、電離圏に数百 kVという高電位が印加され、ジオスペース全体に大きな影響を与えます。また、地球へ伝達される粒子エネルギーはオーロラという形で現れます。オーロラ発光はジオスペースのエネルギー解放過程を表す指標となるとともに、ジオスペースに蓄えられた粒子の投影という側面や、宇宙空間と地球を流れる大規模電流の量を調整する重要な役割も担っています。GEMSIS電離圏では、太陽からの電磁エネルギーと粒子エネルギーの入射過程を、モデリングとデータ解析という異なるアプローチを組み合わせることによって理解することを目指します。