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ジオスペースとは


ジオスペースとは、人類の活動域となりつつある、地球の影響が強くおよんでいる宇宙空間を意味しています。


人工衛星を用いた地球周辺の宇宙空間の探査と利用は、1960年代から本格的に始まり、現在では、天気予報の気象衛星、カーナビ等のGPS衛星など、宇宙利用はいつの間にか私達の生活にも深くかかわるようになってきました。私たちの研究分野は、この宇宙時代の幕開けとともに急速に発展した比較的若い学問分野です。最近ではジオスペース環境の正確な把握と、変動メカニズムの理解が重要な方向性の一つとなりつつあり、特にオーロラや通信障害を引き起こす宇宙嵐(geospace storm)の研究が世界的にも活発化しています。 例えば、米国では ILWS(International Living With a Star)計画のもとで、Van Allen Probesが2012年8月に打ち上げ、現在地球近傍の宇宙空間(内部磁気圏)で観測を続けており、また2014年には外部磁気圏を飛翔するMMS衛星が打ち上げられる予定です。一方、日本国内ではこのILWSの諸計画との連携を視野に入れて、地上観測とデータ解析・モデリング・理論との密接な共同を組み込んだERG衛星計画(2015年打ち上げ予定)を推進しています。

こうしたジオスペース環境変動の理解を目指した動きの中で、データ解析・モデリング・シミュレーションの観点から、ジオスペースにおける変動機構の記述に鍵となる、内部磁気圏の基本モデルの構築が急務となっています。内部磁気圏は、外部磁気圏からの影響を強く受けるとともに、地球により近い場所では電離圏との領域間結合が重要となる領域であり、また粒子ドリフトが本質的に重要なため外部磁気圏のグローバルな記述に威力を発揮する電磁流体近似が成り立たないなど、多くの難しい要素を含みます。このため、宇宙嵐に伴う諸現象が発現する重要領域でありながら、グローバル変動を記述できる数値シミュレーションは、まだ開発が始まったばかりです。内部磁気圏と呼ばれる地球に最も近い宇宙空間は、世界的にも活発な研究が行われているにもかかわらず、そこでのエネルギー・物質輸送を記述するために適切な記述方法は何なのか、基本設計自体が固まっていない状況にあると言えます。