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GEMSIS-磁気圏 (Magnetosphere)

リングカレントイオン発達のエネルギー依存性

リングカレントの発達は、宇宙嵐を象徴する現象です。リングカレントを担う粒子として、数百 keVのエネルギーを持つイオン (高エネルギーイオン) と数十 keVのエネルギーを持つイオン (低エネルギーイオン) が知られています。前者は静穏時のリングカレントを、後者は宇宙嵐時のリングカレントを担うと考えられてきました。リングカレントを担うこれら2つのエネルギー帯の変動については、数例の報告があるのみで、詳細は分かっていませんでした。Polar衛星が磁気赤道面を通過したときに観測した陽子フラックスと磁場データを、27の宇宙嵐について解析したところ、(1) 低エネルギー陽子は、宇宙嵐時に増加し、赤道面磁場が減少するという反磁性的な性質を持つことと、2) 高エネルギー陽子は、宇宙嵐時にやや減少し、宇宙嵐回復相で増加するという傾向が昼側で見られ、中には宇宙嵐時のフラックスを超えて増加する場合も多いということが見つかりました。このことは、高エネルギー帯のイオンは低エネルギー帯のイオンが作る磁場の影響を強く受けるが、断熱的な変動だけでは説明できない過程があることを示唆しています。

参考文献: Temporin and Ebihara, JGR, 2011