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GEMSIS-磁気圏 (Magnetosphere)

太陽風・磁気圏・電離圏相互作用シミュレーションの開発

リングカレントの発達を引き起こすプラズマが、太陽風から磁気圏にどのように入ってくるかを物質・エネルギー輸送の素過程として理解するために、高精度の磁気圏グローバルMHDシミュレーションコードの開発を行っています。ここでは、これまでのMHDコードが解きすすめることが難しかったケルビン-ヘルムホルツ不安定性などの渦乱流や、プラズマシート中の磁気乱流を再現することも目指しています。これまでの主要な成果は以下の通りです。

  • Elsasser変数を導入することにより、MHD方程式系に対してCIP法を適用することに世界で初めて成功しました。これにより、乱流発展を正確かつ安定に追跡することが可能になりました。また、CIP法をベースとした高精度磁気圏グローバルMHDシミュレーションコードの開発にも成功し、太陽風との相互作用に伴う、衝撃波、磁気リコネクションなどの物理現象に加えて、磁気圏境界における渦発達の再現に成功しました。
  • 惑星間空間磁場 (IMF) の南北成分が反転する場合、またIMFがyz平面で回転する場合、 マグネトポーズやプラズマシートでどの様なプラズマ乱流が発生し、エネルギーが過渡状態で運動エネルギー束、熱エネルギー束、ポインティングフラックスのいずれで運ばれるか、その結果として運動量、熱、磁場エネルギーの間でエネルギー分配がどのように変化するか、3 次元空間でどのように分布するかを定量的に解明しました。具体的には、中間スケールの渦乱流とマクロな構造変化の関係をself-consistentに解明し、平行渦度が平行電流を生成することを確認しました。また、垂直渦度と圧縮性が垂直電流を生成していること、および垂直電流と圧縮性と垂直電流の比によって Fast magnetosonic mode (FMS) とSlow magnetosonic mode (SMS) が分離できることを新たに導き出しました。リコネクション領域では特に FMS が顕著に励起されることも明瞭になった。

参考文献: Matsumoto et al., JGR, 2010など