EnglishGEMSIS-電離圏 (Ionosphere)
電磁エネルギー伝送の定量的評価
グローバル磁力計・レーダーおよび衛星観測データを用いて、磁気嵐時の内部磁気圏と低緯度電離圏への電磁エネルギー伝送の定量的評価を行いました。
- 伝搬の瞬時性: 極と赤道で同時に発生する準周期磁場変動（DP2）が南向きIMFによる対流電場成分と磁気圏内部で生成される遮蔽電場で構成されることを見出し、北海道レーダーやリングカレントシミュレーションで確認しました。極域電離圏電場の低緯度方向伝搬速度に関して、数秒以内の精度で瞬時であることを見出し、地面電離圏導波管伝搬による光速伝搬であることを示唆しました。これは、電磁エネルギー伝送のしくみを理解する上で重要な結果と言えます。
- 太陽風の動圧急増と磁気圏応答: 太陽風動圧の急増に伴う磁気急始(SC)で生起される3次元電流系の諸相を捉えるために、中緯度から磁気赤道までの長期の地磁気データの精密な統計解析を行いました。その結果、SC時における領域1型の沿磁力線電流(FAC)系が作るグローバルな磁場変動分布を明らかにしました。その中で特筆すべき事項は、夜側におけるFACによる寄与が磁気赤道まで及びうることを初めて示したことです。
- 伝搬の非一様性: CRRES衛星などのデータを詳細に解析し、惑星間磁場の変動によって地球近傍の電場は即座に応答する一方、プラズマシート内では遅れた応答を示すことや、電離圏から宇宙空間へ向かう電磁エネルギーの流れの存在を明らかにしました。