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明滅オーロラとともに起こるオゾン破壊
~宇宙からの高エネルギー電子が大気に及ぼす影響を実証~

三好由純教授らの国際研究グループは、宙のさえずりと呼ばれるコーラス波動によって、脈動オーロラと呼ばれる明るさが明滅するオーロラが発生した時に、オーロラを起こす電子よりも 1000倍以上のエネルギーを持つバン・アレン帯(放射線帯)の高エネルギー電子が高さ60km付近の中間圏にまで侵入することによって、中間圏のオゾンが10%以上減少することを発見し、Scientific Reportsに報告しました。

この過程は、三好教授らによって理論的に予測されていたもので、今回、宇宙航空研究開発機構(JAXA)「あらせ」衛星と北欧に設置されている欧州非干渉散乱(EISCAT) レーダー、及びオーロラ観測ネットワークによる国際共同観測と、本研究グループが開発したシミュレーションを組み合わせた研究によって実証されました。

この結果は、オーロラに伴う宇宙からの電子降り込みが、超高層大気だけでなく中層大気にも大きな影響を及ぼしていることを実証するものです。中間圏オゾンの変化は、気候変化にも影響を及ぼすことが指摘されている重要な過程であり、本研究の成果は、宇宙と地球大気との関係の新たな理解につながるという意義を持っています。

論文情報:
Miyoshi et al.,
Penetration of MeV electrons into the mesosphere accompanying pulsating aurorae
Scientific Reports, 11, 13724, 2021.
https://www.nature.com/articles/s41598-021-92611-3

名古屋大学からのプレスリリース
https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20210714_isee.pdf