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GEMSIS-磁気圏 (Magnetosphere)

GEMSIS-リングカレントモデルの開発

ジオスペース環境に多大な影響をもたらす宇宙嵐現象の理解に向け、内部磁気圏の数値シミュレーションモデル (GEMSIS-RCモデル) の開発を行っています。 GEMSIS-RCモデルの特徴は、ドリフト近似した5次元の運動論的(Vlasov)方程式とマックスウェル方程式を連立させた、電磁場とプラズマ粒子の運動を自己無撞着に解き進める方程式系に基づいているところにあります。これにより、内部磁気圏での電磁流体波動の伝搬や、粒子のドリフト軌道が電磁場との結合によってどのように変形するかなど、従来の磁気圏リングカレントモデルでは解くことのできなかった現象をシミュレートすることが可能となっています。 これまでに、以下の成果が得られました。

  • 初期条件として双極子磁場の磁気圏に局所的にガス圧の高い領域を設定し、その時間発展を追跡したところ、(1)初期の圧力不均衡により磁気音波が発生・伝搬すること、(2)その伝搬の過程において経度境界でモード変換を通じてAlfven波が発生し、それに伴う沿磁力線電流が発生すること、(3)沿磁力線電流は高圧領域の動径方向の境界 (の反磁性電流) に接続されていることがわかりました。
  • 内部磁気圏におけるPc5帯ULF波動の空間分布およびSCに伴う波動励起と伝播のシミュレーションを行いました。得られた電磁場構造をGEMSIS-放射線帯モデルに組み込むことで、MHD波動と放射線帯電子との相互作用による輸送計算を行い、ドリフト共鳴加速が理論的予測通り起こることを確かめました。また、単色ULF波動の波動スペクトルが、リングカレントとの相互作用によって変化することがわかりました。

参考文献: Amano et al., JGR, 2011